IADL(アイエーディーエル:Instrumental Activities of Daily Living)
発案者であるアメリカの心理学者M・パウエル・ロートンらによる見解では、電話使用・ 買い物・ 食事の準備・ 家事(清掃、身の回りの片づけなど)・ 洗濯・ 移動・ 服薬管理・ 財産の取り扱い及び管理の8項目の事を言いました。
日常生活を行う高齢者の能力を計るこれらの項目は、高齢者がどの程度自立して生活できるのか?支援・介助が必要なのかを測り知るために作られた項目です。
IADLは直訳すると「手段的日常生活動作」と訳されています。「手段的日常生活」という言葉は日本では使用する事がありませんから、何のどのような動作なのかがわかりにくいと私は感じました。
介護業界内で使われているIADLを私なりに解釈するとこうなります。
「日用品等の操作手順や操作が加わった家庭内の簡単な動作と、社会とつながる為に必要な簡単な動作をその高齢者がどの程度できるのかを知らべる項目の事」。
です。
2019年現在の日本では、「買い物,調整,洗濯,電話,薬の管理,財産管理,乗り物等の日常生活上の複雑な動作をいう。」と厚生労働省の見解が公表されています。
「日常生活上の複雑な動作」とありますが、高齢者本人にとっては「複雑な動作」ですが、社会生活を営む上での基本的な簡単な動作だと言えます。
BADL(基本的日常生活動作)の対として用いられるのがIADLです。
家庭内の閉じた空間での最低限度の生活動作の事をBADLと言い、ADL(日常生活動作)と言っている場合もあります。介護用語に限定すると、BADLとADLは同じ意味です。
BADL(Basic activity of daily living)とは、基本的日常生活動作の事で、食事・更衣・整容(洗顔・整髪・爪切り・ひげ剃りなど身だしなみを整えること)・トイレ入浴等の動作を行う思考能力を伴った身体の能力の事です。
IADLはADLより複雑であったり社会性のある動作、またはその動作を行う人の能力の事です。
ADLもIADLも要介護認定の審査(要支援認定を含む)で問われる項目です。IADLは、バスや電車を使って一人で外出できるか?日用品の買い物ができるか?食事が作れるか?請求書の支払いができるか?CDやATMでお金の引き出し等ができるか?体を使った趣味を楽しんでいるか?などで評価しています。
BADLとIADLは同居している家族が最も良く知ることのできる立場にある、と言われています。しっかりと自覚的に暮らしている高齢者もいるでしょうけれど、健忘症が進んでいたり認知症が発症していると本人には気づきにくい事です。
介護保険を利用する入口にあるのが、要介護認定の審査です。審査を受けるためには申請が必要です。
生活の動作に問題があって、支援や介護が必要な状況でも、本人や周りの人が気づき、役所に申請しなければ支援を受けたり介護サービスを利用する事ができません。
生活上の動作がはかどらないけれど、時間をかけたり、間違えながらも後戻りして、なんとか生活を続けている高齢者がいたとします。
本人は、BADLとIADLと言う項目で判定され、支援を受けたり介護を受けることができる制度があることを知らないとすると、あるいは、使用したがらないとすると、要介護認定の審査のため役所に行こうとは思わないでしょう。
制度があって、利用できる状態の人がいて、支援したり介護できる人が待っている。けれど、孤立している。
子供と離れて暮らすひとり暮らしとなった(認知症)高齢者のIADL不能の申告は、本人ではできない場合が少なくないと推測できます。独身の一人暮らしの高齢者の場合には特に、要介護認定の申告はせず、または、できず、家族もいない事から、放置される可能性は高いのです。
あなたの両親が遠方で暮らしていても、あなたがいるのであれば、少し遅れてからであっても、気づくことはできます。ところが、おひとり様の高齢者の場合にはIADLに支障がある事を察知することはかなり難しくなるでしょう。
おひとり様の支援・介護は、早い段階からの在宅介護サービスの利用等の必要性がありながらも気づけないことが、これからの更なる大きな社会課題となってゆくでしょう。
ADL、BADL、IADLの介護用語は主に3つの意味で使われています。「動作」自体を示している場合と「その動作を行う能力」を示している場合と「能力を計る項目(判断項目)」を示している場合があります。
介護用語は全般的に、示すべき用語がなかったり、制度が複雑でわかりにくい。
介護制度自体の未整備が原因で示すべき隙間が多く、さらに改正によって制度自体も複雑化し新しい仕組みが生まれ古い制度が廃止された事で一層わかりづらい。現在まで、きちんとした用語の統一性がはかられてもいません。
ADL、BADL、IADLでは「動作自体の事」「本人の能力」「能力を図る判断項目」の3つの意味合いが絡み合って使われているので、どの意味で使用しているのか?とその都度置き換えて確認すると理解が進みます。
投稿者プロフィール

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埼玉県中部から湘南新宿ラインを使って東京都心に勤めています。親の介護体験はありません。
自転車で10分程の老人ホームに住む母に、週2回程度、手料理を持参したり差し入れや病院の通院の付き添いで訪問しています。
母が老人ホームに移り住むタイミングで近くに引っ越しました。通勤時間は長くなりましたが、自分の時間が作れました。
左の写真の絵は私が描いた絵ではありません。
超多忙な時期に自分を取り戻すかのような思いで購入しました。日本画家東山魁夷の「道」の複製です。とっても好きな絵です。人の人生のよう。
忙しいからこそ、絵画を鑑賞したくなる時があります。アンバランスでどこか不足した栄養素を補うような本能で、美を欲するのを感じるからなのでしょう。
しっかり働き、自分の時間を大切に、そして、親の助け手でもある。恩返しする。これまでも、これからも・・・。





