施設の見学で注意しておきたい点
交通の便を調べる・バスの本数
老人ホームの費用は郊外ほど割安になる傾向があります。不動産取得(借用)費用を低くできるからです。
同じ料金でもスタッフ体制や施設の充実度が魅力的に見える。その反面、子供が面会に行くには遠く、時間もかかる事から会う機会が減ることにもなります。
老人ホームはとても自由度の制限された施設であり、利用者にとっては自宅とはかなり異なった閉鎖的な空間です。社会とつながる機会が唯一、家族や親せきの面会になることもあります。
子供の訪問が入居する親にとっては大きな楽しみとなります。
利用する親やご自分の自宅から近い、地域内にある施設を探す。可能であれば、自宅から近い地域の老人ホームを選びましょう。
私は、通勤の利便性を抑えて、母の実家近くに引っ越しました。
大きな理由は2つありました。
かかりつけの歯科や主治医の整形外科の通院で私が付き添う事を優先し、本人の診察なしで毎月薬のみを処方してもらった薬を母に届ける、そして母に会う利便性を優先したかったのです。
「・・買ってきて」と言われて、入れ歯洗浄剤やおむつをドラッグストアで買って持ってゆく。近いからラクにできる。気兼ねがいらない。
こうしたサービスは施設スタッフに頼む事もできるでしょう。
けれど、そんな親の言いつけを聞き、子供が買い、届ける。話を聞く。何でもない事が後々大切なことであったと気づくような気がしています。
臭い
老人ホームでは、筋力の低下によってどなたであても失禁は日常的に起こりえます。大便の処置が速やかで適切でない場合には臭いが残ります。最低限、臭わない施設を選びましょう。
エアコンお吹き出しがベットに近いと、高齢者にとって体調管理上問題があります。案外見落としがちなポイント。直接身体に風が当たらない位置にエアコンがあるか?確認しましょう。
エアコンがかび臭い居室では衛生面への気配りが足りない施設と想像できます。「入居前にはきれいにしてもらえますか?」と聞き反応を観察すると良いでしょう。
予約をしてから見学
アポなしで見学をしてはいけません。
あらかじめ連絡して、食事時やリクリエーションをしている時間帯に見学させてもらうようにしましょう。空室があれば居室も確認しましょう。90歳以上の入居者が多い施設は安心できる施設の目安と言われています。
利用者の様子・表情を観ると居心地を知ることができます。
勝手に居室を見ない・入らない
居室に鍵はありますが、解錠していることが多いです。解錠していたり、ドアが開いていても居室はプライベートな空間ですよね。じろじろ見ない。さりげなく見えてしまう程度が良いでしょう。
許可が無ければ写真は撮らない
設備や建物の外観を撮影したいのか?利用者の雰囲気を撮影したいのか?スタッフを撮影したいのか? 整理してから聞いてみましょう。
高齢者は口数が少ないけれど、頭はしっかりしていてしっかりあなたを「どんな人間か?」と人生体験で観察して分析しているのです。
見学時に気づかない内に嫌われる事になっては、そこに入居する選択肢を1つ失くす、あるいは、入居してすぐ親が抱えるトラブルになるかもしれません。
相談窓口は明確か?確認する
「お客様は神様・・」のような、百貨店や飲食店のようにはクレーム対応していないホームは少なくありません。クレーマーは嫌われます。
民間企業が事業主体であっても、高齢者という社会的弱者の利用者への対応は、「お客様は神様・・」のようではありません。母の住む老人ホームだけではないでしょう。だから、虐待がニュースになっているのです。
我慢できないようなクレームや「そうしてもらわなければ困る」場合。
迅速に適切に対応してもらうために、「どなたに相談できますか?」と聞きましょう。
予算の上限があるのに、あれもこれも・・と欲張ると決まらない
老人ホームを選ぶポイントを紹介している書籍がたくさんあります。事業者の規模や経営状況を調べることは大切です。
けれど、こまかい1つ1つのポイントすべてを叶えれくれる老人ホームが実際にどのくらいあるのでしょうか?
それほど多くはありません。
ほとんどの利用者は、予算を目安に施設を選んでいるのだと思います。その予算であれば、どの施設であっても大きな違いはないのです。
なぜなら、介護が必要な利用者にとって最も重要なのは介護スタッフの質であり、その介護スタッフは流動的で、似たような施設に転職しているからです。
大事な視点は1つ。
安さに魅かれて入居候補とした老人ホームがあったとします。
その安さの裏側に盲点、利用者にとっての不便や不満点はないのか?
そうした視線で見学しましょう。
老人ホームの食事はまずい。
このことは日本に限らず世界的に指摘されている不満です。グルメであった入居者、料理好きな方であったなら、なおさらに食事に物足りなさを感じるのだと想像します。
1日3回、1年で1,095回の食事がおいしい、少なくともまずくはないことはとても大切なことではあります。
でも、老人ホームの食事は、学校給食というより、病院食に近いものです。
入居一時金に1千万円以上を支払える方であれば、レストランのような食事を提供してる老人ホームを選ぶことはできます。
その施設に厨房があるか?
母の老人ホームでは、ごはんはおいしい。たぶん、ガス炊飯器を使っています。(電気炊飯器より格段においしく炊けるのがガス炊飯器です。)
なるべく、厨房のあるホームを選びましょう。
厨房があれば必ずおいしいわけではないけれど、食事提供の設備に予算を組んだ、という事は大きい。庶民的な利用料金のホームでも、厨房のあるホームと無いホームがあります。
厨房があれば、ある程度以上の食事への配慮がされている。
月額利用料は年金額の範囲内、という程度の老人ホームであれば、それ以外はある程度は妥協する以外にないと私は思います。
そして、あなたの余裕があれば、差し入れでお弁当を持って行ったり、自宅で作った料理を持ってゆく。
家族にできることは些細だけれど、親にとっては大きなイベント、楽しみになるのです。
厚生労働省のサイトには介護サービス概算料金の試算を簡単に計算し印刷できるページがありとても便利です。
譲れない条件を知って置き確認する
入居する親本人がイヤな事、必ず必要なサービスを事前に聞いておくことが最も重要です。
わたくしの母の場合は、寝起きがひとりでできないので、寝起きの介助は必ずしてもらいたいサービスでした。
そして、できるだけ施設を退去しなくて済むホーム。
「看取り」をしているとうたう施設であっても、退去しなければならない条件はあります。どのような場合に退去しなければならないのか?必ず確認しましょう。
見学チェックリスト
親のハズせない要望はサービス提供されるのか?
ハズせないサービスはどのように提供されるのか?
私の母は骨粗鬆症が悪化し寝起きがひとりでできません。寝かせてもらい起してもらう必要が必ずあります。乱暴な対応だと動作中に骨が折れてしまうくらいの症状です。
でも、介護スタッフはピンキリ。
要領の悪いスタッフが夜間スタッフとなっても、丁寧に対応してもらわなくてはなりません。
私は、カレンダーの裏紙にマジックで、寝起きの手順を大きくベッドの横に貼りました。新人スタッフでも見ながら母からの合格点をとってもらえるようにしてみたのです。
利便性・衛生面
エレベーターを利用せずに居室から食堂に行けるか?:エレベーターは車いすによる移動だと非常に時間がかかります。食事が冷めます。なるべく交代で食事をする必要がないホームを選びましょう。
居室の清掃は週に何回実施しているのか?:居室入口付近にチェック表があると良いでしょう。
居室・廊下で臭うか?
エアコンの位置はどうか?
料金
パンフレットで大きく表示されている料金は実際の月額支払い総額なのか?:広告にある数字以外に料金が付いている場合は少なくありません。
利用料金の内訳はどうなっているのか?:内訳が明確ではないと勝手に追加料金が請求されるリスクがあります。
入居一時金の返還はどのようになっているのか?:利用料金が入居金ですべて支払うホームの場合、7年程度で償却するような料金設計がされています。1年で死亡した場合には返ってくるのか?10年以上利用していても追加料金はかからないのか?ぜひ確認しましょう。
スタッフが病院の通院の送り迎えをしてくれるのか?料金は?
キザミ食など歯が悪化した際の調理サービスはできるのか?オプション料金になるのか?
体制・システム
届け出済みの施設なのか?(当サイトでは届け出済みのホームのみを掲載しています)
事業主体はどこか?
看取りサービスをしているか?
認知症対応をしているか?
家族の面会時間はどうなのか?:9時5時が一般的です。24時間面会できると仕事を終えてから差し入れすることもできます。
急病の際の対応は?
苦情窓口は誰なのか?
夜間の介護スタッフは何人か?
看護士は何時から何時まで常駐しているか?人数は?
外出や外泊はできるか?条件はあるのか?
訪問診療の指定病院・歯科は?
食事は施設内の厨房で作るのか?配送サービスを利用しているのか?
持病のある利用者はどの病気まで対応可能なのか?
体験住居できるのか?
現在の入居者の人数、1年間の死亡者数などを「入居者の状況」として開示しているか?見せてもらえるか?
重要事項説明書を見ることができるか?:パンフレットは広告媒体です、CMです。イメージ良く伝わることを目的にしています。実際の契約内容はイメージ通りではない可能性があります。重要事項説明書ではイメージはなく有るのか無いのか・数字・できるできないが明確に書かれています。空欄の箇所で気になる部分は必ず質問しメモにとるようにしてください。
投稿者プロフィール

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埼玉県中部から湘南新宿ラインを使って東京都心に勤めています。親の介護体験はありません。
自転車で10分程の老人ホームに住む母に、週2回程度、手料理を持参したり差し入れや病院の通院の付き添いで訪問しています。
母が老人ホームに移り住むタイミングで近くに引っ越しました。通勤時間は長くなりましたが、自分の時間が作れました。
左の写真の絵は私が描いた絵ではありません。
超多忙な時期に自分を取り戻すかのような思いで購入しました。日本画家東山魁夷の「道」の複製です。とっても好きな絵です。人の人生のよう。
忙しいからこそ、絵画を鑑賞したくなる時があります。アンバランスでどこか不足した栄養素を補うような本能で、美を欲するのを感じるからなのでしょう。
しっかり働き、自分の時間を大切に、そして、親の助け手でもある。恩返しする。これまでも、これからも・・・。





