物忘れと認知症の違いとは?
「物忘れ」というのは、普通の人が加齢で記憶が衰える一般的な事であり、認知症ではありません。物忘れは、他人が指摘すると、「そうだったね・・・」と忘れた事に気づくのに対して、認知症は、忘れたと思っていない、という特徴があります。
物忘れはあまり進行する事が無いのに対して、認知症は性格変化・失語・興味の衰退・閉じこもり・抑うつ等に移行します。認知症の根本治療法はありませんが、早期の発見と早期に療法を開始する事により症状が抑えられたり、悪化を遅らせる事ができる、と言われています。
ご家族が「何か変だな・・」と思ったら、「健康診断を受診しよう・・・」などと促して、早めの診察を受けましょう。
認知症の病気の種類・特徴とは?
認知症というのは病名ではなく、物事を認識したり、出来事を記憶したり、聞いたり見た事を判断したりする力が障害を受け、社会生活に支障をきたす本人の症状・状態を言います。
超高齢社会の日本人なら、もはや誰でも発症する可能性のある認知症。
認知症となる病気にはアルツハイマー病、ピック病(前頭側頭型認知症)、レビー小体病、血管性認知症、アルコール性認知症、等があります。
いずれの認知症も脳細胞に何らかの要因でダメージを起こし、脳が正常に機能しなくなる事で発症します。
血管性認知症の症状
血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などによって発症する認知症です。
血管性認知症を発症すると、知的機能に障害が出る他に、しびれやマヒ、歩行障害などの身体的な機能の低下が現れます。また「記憶障害はあっても、判断力は保たれている」というように、脳の損傷を受けている場所によって症状にムラがあることも特徴です。
脳梗塞や脳出血を繰り返し、ある時点で大きく症状が悪化する特徴があります。
動脈硬化が原因で発症する病です。完治できる治療方法も薬も現在はありません。症状を和らげる薬が処方されています。
アルツハイマー病の症状
アルツハイマー病型認知症の場合、少しづつ症状が悪化する病気です。アルツハイマー病の特徴は、記憶障害と認知能力の劣化です。
直前の事を忘れ、日常の動作に時間がかかるようになります。進行すると性格が変わることもあります。認知症疾患者の内の53%がアルツハイマー病で、認知症で最も症例が多い病気です。
いまだに原因は不明です。アルツハイマー病患者の99%は遺伝とは無関係で発症します。男性に対して1.5~2倍、女性が掛かりやすい事が統計でわかっています。
根本治療法はなく、完全に防ぐ為の予防法は確立されてはいません。ただし、現在の主流ではない過去の学説によって生まれた症状緩和薬が効く場合があり、処方されているようです。
レビー小体病の症状
1996年に診断基準が確立された、発見の遅れた認知症です。それまでは、パーキンソン病の症状と考えられていました。男性に多い病気で女性の2倍かかりやすい病気です。
症状としては、変動が激しく、夕方に悪化する傾向があります。「変動が激しい」というのは、普通の会話ができる人が、調子が悪くなると途端に集中力・注意力が低下し理解力の低下することがあるのです。
進行が進むと幻視や記憶障害が悪化します。認知症の内でアルツハイマー病の次に多い病気で、罹患者数は、認知症患者全体の20%と言われています。
レビー小体病とは、大脳皮質に異常にタンパク質(レビー小体)が付着し脳にダメージを及ぼす病で原因は不明です。根本治療薬は今のところありません。
ピック病(前頭側頭葉変性症)の症状
男性に多い認知症疾患です。前頭葉と側頭葉が萎縮する病気です。
比較的若い時期(前期高齢者)に発症する特徴があります。記憶障害は少なく、急激に大きく性格が変わります。横柄で乱暴な態度をとる。万引きや無賃乗車などの犯罪に発展する場合もあります。
症状は年単位でゆっくり進み、7年程度で寝たきりになる事が多いようです。原因は不明で根本治療薬は今のところありません。
アルコール性認知症
アルコールの過度の摂取により、体内にビタミンB1が欠乏し栄養障害が発症して認知症になる病気です。記憶障害が発生し、周辺状況がわからなくなります。歩行が不安定になる場合もあります。
診断の結果、アルコール性認知症とわかった場合には断酒をします。すると認知機能も記憶障害も改善します。
認知症の患者数の傾向
年を取ると認知症の発症リスクが高まります。青年期では発症が極めて低い病気が認知症です。年をとればとるほど罹る可能性が高まります。
2013年の厚生労働省による調査では、65歳から69歳で2.9%、70歳から74歳で4.1%、75歳から79歳で13.6%発症しているとしています。
さらに80歳を超えると認知症の発症率は急激に高まります。80歳から84歳で21.8%、85歳から89歳で41.4%、90歳から94歳で60%、95歳以上で79.5%の高齢者が何らかの認知症を発症しているのです。
2003年の高齢者介護研究会報告書により推定された認知症患者数は323万人でしたが2012年時点での予測によると2025年には7,300,000人が認知症になると推計されています。これまでの予測数値を大幅に超え、日本にあっては認知症患者が激増すると推測されています。
加齢が認知症の要因です
このような傾向から、年を取る事が原因としている認知症専門医もいます。
認知症が怖いと言う漠然とした不安感がいまだに残っていますが、認知症を発症したとたんにあらゆる事がわからなくなるのではありません。
認知症を発症するとすぐに何もかもがわからなくなるのではなく、それまでに身に付けた経験や知識は能力として持ち続けますし感情としての喜怒哀楽、人間らしさも残る場合が多いのです。
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もし自分が認知症になったらどうなるのか?
60歳を過ぎたあたりから徐々に不安を抱える人が多いようです。
認知症患者は社会的に隔離され孤立させられた存在ではありません。
介護保険制度改正によって認知症予防に対する地域の予防サービスの充実が図られています。介護保険が適用される施設老人ホームなどでは、認知症患者に対する身体拘束は原則的に禁止されています。
認知症にはいくつかの病気があり要因・経過も様々ですが、認知症になる最も大きなリスクは歳をとることです。
長生きすることは良いことです。歳をとる事は自然現象であり止めることができません。
認知症と付き合いながら生きてゆく心構えを持っておく事が自然なのではないでしょうか?
介護保険を利用してプロのサービスを利用する事で、家族の負担は格段に下がります。
投稿者プロフィール
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みえる
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埼玉県中部から湘南新宿ラインを使って東京都心に勤めています。親の介護体験はありません。
自転車で10分程の老人ホームに住む母に、週2回程度、手料理を持参したり差し入れや病院の通院の付き添いで訪問しています。
母が老人ホームに移り住むタイミングで近くに引っ越しました。通勤時間は長くなりましたが、自分の時間が作れました。
左の写真の絵は私が描いた絵ではありません。
超多忙な時期に自分を取り戻すかのような思いで購入しました。日本画家東山魁夷の「道」の複製です。とっても好きな絵です。人の人生のよう。
忙しいからこそ、絵画を鑑賞したくなる時があります。アンバランスでどこか不足した栄養素を補うような本能で、美を欲するのを感じるからなのでしょう。
しっかり働き、自分の時間を大切に、そして、親の助け手でもある。恩返しする。これまでも、これからも・・・。