親の介護をしないとダメですか? 3 【PR】
私は親の介護をした事はありません。似たような体験を少し。前回の 親の介護をしないとダメですか? 2 の続きです。
社会人になって以降も、心の病気を患った父を持っていたので、実家から独立しませんでした。
48歳で心を病んだ父は入院する事を拒絶しました。苦労しながらストレスフルに実家に住んでいたのは、母一人で父を観るのは負担が大きいと判断していたからです。
仕事で疲労困憊してから帰宅後に待ち受けていたのは、父の不機嫌な罵声であったりしたのです。
内弁慶で病気持ちの父は、家の中では一年間のうち360日は不機嫌で言葉の暴力が日常でした。病院で処方された服薬をごまかし、症状は一時以降、悪化していきました。
薬によって脳は拘束される。薬でおとなしくなると刺激が満たされず空しかったからなのだと思います。
都合のよい医者を探しだし、診察で芝居をして医者の心象に慮った結果得た弱い薬によって、活発化した父の行動と言動は、時に耐え難い。
父の選んだ病院の担当医に、父のごまかしの実態を説明し、薬の処方を変えるよう懇願しても、プライドの高いその医師は聞き入れない。
担当医の休診の日を選んで相談した、担当医の部下の医師は事情と実態を理解し、その処方に誤りがあるとわかっていた。
けれど、医療界の縦型のシステムは厳格で、その医師は上司の診察を翻す事はできない。意見できなく無念で俯く医師。結果、父の暴走を止まる薬を処方してもらう事を断念。
会話らしい会話を父と交わした事は、普通の家庭の何十分の1あるいは何百分の1でした。
ある時期、父は母に暴力をふるった。
精神的に耐えかねた母は一時期実家を出ました。母を放置する事はできず、自分の大切な予定を変更して母の居る県の施設に通った事を思い出します。
憎き両親。なんという親ども、とその頃から何年も私は思いました。
なぜならば、そのタイミングでしかできないことを後回しにせざるをえなかったからです。
母が実家に戻ってから、落ち着いてきた時期に、自分の事で、ある方に相談すると、
あなたにはあなたの人生があるんですよ。
あなたは実家を出た方が良い。
あなたは自分の人生で幸せにならなければならない・・・
と言われました。ハットして我に返った。自分を生きなければと瞬間で納得しました。
世間からはかなり出遅れて始めた一人暮らし。
出勤前に朝食時に置き忘れた湯飲みは、片づけられずに帰宅後に、そのまま置かれている。誰も片づける人は家にいない。
生活の全てを一人で済ませることは大変でした。
けれど、清々しい。
明かりの灯っていない自宅で電気を点ける時、虚しさやさみしさを感ずると聞くけれど、私にとっては、あの罵声のない静かな空間に帰られる事に心の安堵がありました。
父を観てきたあの実家での日常には父への嫌悪感が色濃くありました。責任感と義務感からくる人生の宿命としての”仕事”以外の何物でもなかったと振り返ります。
介護に戻ります。
著述家の吉田潮さんは、
自宅介護は憎悪を生むだけ
と言います。
自宅介護をした事はないので、私にはわからないけれど、長患いの父と暮らした体験を思い出し、当時を振り返ると、「ごもっとも!」と思うのです。(親の介護をしないとダメですか? 吉田潮 KKベストセラーズ)
犠牲は、疲弊は、自己生存欲求によって憎しみを生みます。
私は身をもって体験し実感しています。
自分の人生で自分が幸せにならなければならない。
と。
親を大切にする、同時に、自分の人生も幸せにする。
介護保険制度を利用するためには申請が必要です。保険料を支払ってきたのですから、しっかり使って良いのです。
家族の老いを支える手立ては家族だけにあるのではありません。
「憎悪を生む」関係性ばかりの日常はどなたにとっても苦しい。
介護のプロに任せる事に罪悪感を感じるのは、家族の単位変化の端境期に色濃く留まった、大家族時代の過去の残像なのかもしれません。3世代4世代同居の普通の家族にあった常識は今の常識ではないハズです。
吉田潮さんはさらに、
親の介護より、
自分の老後を心配したほうがいい。
と言います。
介護関連の書籍を読み、考えていきついた先が、わたくしにとっても、20年後30年後の老後でした。親の介護に戻ります。
国の保険サービスを賢く使う。
でも、親を捨てるわけではない。
大事な事は、親の介護は親のお金で。親の介護で自分の仕事は辞めない、という事です。
なぜならば、大きな政策の転換がない限り、20年後30年後のほうが、今よりどんどんと深刻になり生き通すことが難しくなると思うからです。
あなたの人生のためにあなたのエネルギーを使って良いのです。そのために親の介護をプロに任せる事に後ろめたさは要りません。
投稿者プロフィール

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埼玉県中部から湘南新宿ラインを使って東京都心に勤めています。親の介護体験はありません。
自転車で10分程の老人ホームに住む母に、週2回程度、手料理を持参したり差し入れや病院の通院の付き添いで訪問しています。
母が老人ホームに移り住むタイミングで近くに引っ越しました。通勤時間は長くなりましたが、自分の時間が作れました。
左の写真の絵は私が描いた絵ではありません。
超多忙な時期に自分を取り戻すかのような思いで購入しました。日本画家東山魁夷の「道」の複製です。とっても好きな絵です。人の人生のよう。
忙しいからこそ、絵画を鑑賞したくなる時があります。アンバランスでどこか不足した栄養素を補うような本能で、美を欲するのを感じるからなのでしょう。
しっかり働き、自分の時間を大切に、そして、親の助け手でもある。恩返しする。これまでも、これからも・・・。








