老人ホームの資料請求について

インターネットの情報で比較し、施設ホームページの内容と合わせてパンフレットを読みましょう

施設選びの最低条件とは何か?

地方自治体の全てではありませんが、届け出済の施設と無届の施設を公開している場合があります。

有料老人ホームを営む為には、事前に協議・届け出の義務があります。ところが、無届で施設を運営している場合があるのです。

無届施設であってもサービス内容が優良であれば、「利用するに値する」、という専門家もいます。

ただし、介護施設を運営する場合には届け出をすることが義務とされており、何らかの理由により届け出しない、届け出をしないことで、行政からの監視を免れる、という意図もあるようです

上の表は、厚生労働省老健局高齢者支援課による調査結果です。

近年では施設の1割程度に無届施設があることがわかります。信頼できる方(介護の専門家を含みます)から勧められた施設であっても、あなたの住む自治体でその施設の情報が掲載されている事もあるので、地方自治体のホームページに掲載している施設一覧を1度確認されるのが良いでしょう。

無届施設と契約するという事は、利用者が、行政の力でフォローアップしてもらえない、問題・契約違反(してくれるはずのサービス提供がされない等)となった場合には一人で対応する可能性が高まります。

老後を台無しにしない為に

無届施設と契約する事は、そのリスクを受け入れる、という意味合いになる事をあらかじめ理解しておくべきでしょう。

まず、自治体の施設一覧をご覧になって、「届け出済」の施設の中から適切な施設を選ぶ、という流れが良いと私は思います

資料請求した施設にホームページがあれば、設立されたのはいつ運営母体はどこなのか?会社名なども調べましょう。

運営母体の財務状況が公開されている場合には、チェックするようにしてみてください。(株式上場していれば必ず公開情報はあります)

今どきの介護施設であれば、ホームページが開設されていて当たり前、と思われるでしょうか?

実は、専門家も指摘している通り、ホームページを開設せずに宣伝広告もしていないけれど、優れてサービスの良い、届け出済みの、入居者の満足度の高い施設もあります

施設選びで何よりも大切な事は、あなたの親が最も希望している事と最も望まない事が、その施設で叶うのか?

という事です。

人それぞれに、希望は異なる事から、万人に気に入られる施設などは無いという事を頭の隅に置きながら探されるのが良いでしょう。

人気の施設であっても、あなたの親が気に入るとは限りません。

マイホーム探しとは違った視点が必要です

マイホーム選びであれば、新築で、住宅も強固で設備も充実し、間取りも多く広いと魅力的に見えます。マイホーム選びでは人的サービスという視点はありません。

健康なうちから住宅型、健康型のホームを選ぶのであれば、施設や設備の魅力に魅了され、決め手としている方々もいるでしょう。当初は大満足なのだと推測します。

けれど、やがて支援サービスや介護サービスを受ける事を念頭にするのであれば、なにより大事な視点は、その施設の人的サービスの充実度です。

介護型の老人ホームを選ぶ際には、施設設備20%、人的サービス80%という重みで提供を受けるサービス全体を見る事をお勧めします。

 

最も信用できる情報とは?

電車の広告やインターネットには「口コミランキング」と言われているものがあります。それに対して、「ホントの口コミ」があります。

公になっていない、アンケート調査の結果ではない、利害の関係していない「口コミ」をここでは「ホントの口コミ」と表現させて頂きます。

「絶対に失敗しない有料老人ホ-ムの選び方」の著者で有料老人ホーム入居支援センター理事長の上岡榮信(うえおかしげのぶ)さんは、最も信用できる情報として「口コミ」を挙げています

近所に住む人、たとえば、介護施設の周辺の商店に聞いてみる。家族が施設を利用している友人・知人に聞いてみる。

上岡榮信(うえおかしげのぶ)さんによると、インターネットでの口コミは、確かな情報と不確かな情報が混在している可能性もあり、「そのまま真に受けることはお勧めしません。」と言われています、参考にされてください。

施設の運営母体を調べましょう

実際に資料が送られてきたら、その老人ホームの経営している会社や福祉法人を調べます。できれば、その運営母体の経営状況を調べます。

東京商工リサーチによると、2018年の「老人福祉・介護事業」倒産件数は106件でした。

業種別では、最多が「訪問介護事業」の45件。

次いで、デイサービスなどの「通所・短期入所介護事業」が41件、「有料老人ホーム」が14件、サービス付き高齢者住宅などを含む「その他の老人福祉・介護事業」が3件でした。

このなかでは、「有料老人ホーム」は前年に比べて2.3倍増と急増ぶりが目立っています。

東京商工リサーチによる倒産事業者の見解によると

2013年以降に設立された事業者が34件(構成比32.0%)と3割を占め、

設立5年以内の新規事業者が目立つ。また、

従業員数では5人未満が66件(前年比2.9%減、前年68件)で、全体の6割(構成比62.2%)を占めた。

としています。

介護の体制を確認しましょう

入居者3名に対して介護スタッフ1名という体制など、厚生労働省では看護職員と介護職員の基準が定められています。

そのスタッフが専属スタッフなのか?臨時スタッフを含むのか?

どのような雇用契約のスタッフなのかは決まりがありません。

請求した資料に明示されていなくとも、重要事項説明書には項目があるので、施設の見学の際に確認すると良いでしょう。

専門家による独自の調査によって優良施設として取り上げている場合があります。

その優良施設の特徴。

優良施設ではスタッフ人員総数が入居者の8割程度、つまり入居者30人の施設であれば、スタッフの総数が24名という施設であれば優良施設の可能性が極めて高い、と専門家が勧めています。

私が加えたいのは、そこに夜勤常勤スタッフが何人いるのか?

という事です。夜間の介護の手厚さが入居後に最も重要であると私は考えています。夜間一人体制であっても緊急時の体制があり訓練等も実施されているのかも確認しましょう。

さらに、経営者・法人の理念がしっかりしている施設では、中には、入居者の10割のスタッフがいる施設や入居者の125%のスタッフがいる施設もあるようです。

介護スタッフは深刻な人手不足です。なので、こうした優良施設は多くはありません

悪徳業者の運営する施設を選択肢から排除し、許容範囲の施設を探す、という方法もあります。(私の母はそのような施設を選びました。最も重要視したのは、実家から近い施設でした。結果として、かかりつけ医が近く病院の通院が楽、をホームを選んだポイントとしました)

介護の現場の人員の適正な配置人数は、業界と無縁の方であれば、なかなか良く知らない事だと思います。

利用者とスタッフの比率を数値で少し知っておくだけでも資料の見方が違ってくるでしょう。

施設の良し悪しは費用で見てはいけません

高い費用であれば入居者の満足度が高いという事は言い切れません。データから読み取れるのです。施設の想定している7年間の生活介護の総費用の支払額と施設の評価(A~F)、評価とスタッフ総数の相関を下記表に作成しました。

7年分総費用 6段階評価 総スタッフ数÷利用者数 費用÷総スタッフ数
5,117万円 E 65% 138万円
4,038万円 A 125% 43万円
3,838万円 E 68% 51万円
2,378万円 18% 340万円
2,653万円 A 72% 55万円
2,526万円 F 30% 126万円
2,365万円 72% 55万円
2,321万円 A 95% 21万円
1,648万円 F 38% 27万円

上の表は「高齢者施設ガイド2019」日本経済新聞社 に掲載の”優良施設と低評価施設の違いの実例”から項目をピックアップしています。費用が高額である事と評価が高い事にはあまり相関関係はない、という根拠となるデータの傾向を知ることも大切です

入居一時金と月々の費用の数年分を合算し、総職員数(事務員や栄養士など全ての職員数です)で割ると職員ひとりあたりの費用支払額が求められます。

実は、この費用÷総職員数の数値とサービス満足度には相関関係がほとんど無いと言われていることがあります。

具体的な施設名を申し上げることができませんが、費用÷総職員数が300万円、170万円の施設と27万円、51万円の4つの施設を6段階評価したところ、ランクEやランクFと専門家が評価しているのです。

では、何の数値がサービス満足度と相関しているのでしょうか?

それが、スタッフ総数÷入居者数なのです。

スタッフ総数÷入居者数が70%以上、できれば80%以上の施設であれば、ランクAの施設である可能性が高まります。(もちろん例外はあります。なぜならば、”スタッフ総数”が唯の人数の寄せ集めである場合と経営者の経営哲学による場合意味合いが大きく異なるからです

このような、ランクAの施設の「費用÷総職員数」は68万円~21万円。(優良施設と低評価施設の違いの実例”に基づいた数値であり全ての施設に当てはまるのではありません)

良い施設とは、経営手腕を兼ね備えながらも、売上や利益という視点ではない、経営者の経営理念・死生観・倫理観によるところが大きい、その一端がうかがえるのではないでしょうか。

食事にかけている気づかいはどうか?

 

日本の老人ホームに限らず、世界の老人ホームで、最も不満が多いのが食事です。「食事がまずい!」と言われることが多いのです。

病院食も「おいしくない」と言われる典型例です。老人ホームの食事が美味しくないのは、高齢の方々への健康への配慮から味が薄めになっていることも原因の1つです。

老人ホームの食事はどのように作られているのでしょうか?

気になりますよね。ホーム内に厨房がなく、民間の宅配のような拠点で作った食事をホームに配送し、提供している場合が多くなっています。厨房があるのであれば、調理をされますが厨房がないと、そのまま提供される事になります。

ホームの室内で過ごすことの多い高齢者にとっての楽しみは食事です。

できれば、厨房を兼ね備えている、食事に気づかいのある施設を選びたいものです。

住宅型の老人ホームでは料亭や高級レストラン同様の豪華な食事メニューを売りにしている所もあります。

月に数回の食事であれば大満足!となるでしょう。

食事は1日に3度あります。豪華な食事メニューばかりでは、かえって飽きが来るのです。

豪華ではないけれど、心遣いのある、作りたての料理と炊き立てのごはん

利用者の世代によって今後の趣向は変わるでしょうけれど、案外家庭料理のような食事を提供している老人ホームに人気が高いようです。

できれば、少し時間をかけて3つ以上の施設から選びましょう

急な病気やケガであなたの親が入院していたり、一人暮らしが難しくなってきた。なるべく早く、24時間介護してくれる施設を探している、とします。

どのように急いでいても、確認する大切なことがあります。多くの方々が入居後にクレームを上げている、入居する本人と家族にとって失敗となるケースがあります。

より満足のゆく施設に辿りつくためには、最終的な候補の中からさらに、良心的で最適な施設を選ぶ心積もりが必要です。3つ以上の候補となる施設を比べて選ぶことは、とても大切です。

口コミで入居している入居者が90%以上の施設であれば、優良施設と判断する事ができます。そうした、優良施設では空きがないのが現状です。

入居を希望しても、すぐに入居できない場合もあります。

これまで一人暮らしをしていた親であれば、これまで通りに自宅にいながら、訪問介護を利用したり、ショートステイ(=短期入所生活介護)を利用して、最適な施設を選ぶための時間を確保することも可能です。

つまり、介護付きの老人ホームを探し入居を希望している場合であっても、数週間から数か月間、仮住まいとして他の高齢者サービスを利用することもできるのです。

ただし、施設を転々とすることは、痴呆症や病状を悪化させる原因、トランスファーショックとなり得ます

慎重に施設を選ぶために、一時的な避難をするために、各種のサービスを上手に利用頂ければと思います。

契約書・重要事項説明書を確かめるポイントとは?【最重要】

サ高住や老人ホームで事業者から提供されるサービスによって、本当に自分が求めている「安心」快適」「満足」が提供され、そのサービスを自分が払える金額の範囲内で手にするだけの保証があるのか?

その具体的な「安心」を得られる事を確かめるために、請求する資料=パンフレット等で良く読む必要があります。

仮に、パンフレット等でそれらの点が不明瞭なときは、希望する、求めている点を契約書や重要事項説明書の説明を受ける場面で、事業者に対して念入りに質問しましょう。

できるだけ契約の前、施設の見学の時点で重要事項説明書を見せてもらい、時間をかけてじっくりと読み理解しておくことをお勧めします。

パンフレット等に希望する点の記載があっても、その内容が契約書や重要事項説明書にもきちんと反映されているのかが法的根拠となります。

契約書を見る際は、本当に自分が求めているサービスが提供されるのか?を確認してゆくべきでしょう。

投稿者プロフィール

みえる
みえる
埼玉県中部から湘南新宿ラインを使って東京都心に勤めています。親の介護体験はありません。

自転車で10分程の老人ホームに住む母に、週2回程度、手料理を持参したり差し入れや病院の通院の付き添いで訪問しています。

母が老人ホームに移り住むタイミングで近くに引っ越しました。通勤時間は長くなりましたが、自分の時間が作れました。

左の写真の絵は私が描いた絵ではありません。

超多忙な時期に自分を取り戻すかのような思いで購入しました。日本画家東山魁夷の「道」の複製です。とっても好きな絵です。人の人生のよう。

忙しいからこそ、絵画を鑑賞したくなる時があります。アンバランスでどこか不足した栄養素を補うような本能で、美を欲するのを感じるからなのでしょう。

しっかり働き、自分の時間を大切に、そして、親の助け手でもある。恩返しする。これまでも、これからも・・・。