料金が”高ければ安心!”と思いがちですが・・・
良いサービスは高く、悪いサービスだから安い。と思いがちなのは私だけではないでしょう。
老人ホームにかかる費用は、入居一時金が低料金あるいは無く、月々の費用も比較的安い料金設定であっても一生を左右する高額なものです。
比較的低料金の設定であっても月額数万~十数万円。
ひとの一生で、一番高い買い物はマイホームと言われています。
老人ホームにかかる費用は、マイホームに匹敵、またはそれ以上にかかります。
老後の終の棲家が老人ホーム。人生の最後で失敗しないために大切な事。
それは、比較的安い老人ホームでも手厚い介護をしている施設はあり、高額であっても生活面で満足するには程遠い施設があるという事です。
料金は設備面にかかっている場合が多く、日常のケアがその入居者本意に行われている事とは関りがない場合が少なくありません。
入居者本意の、サービスの思い入れの強さは、代表者や施設長による方針の部分が大きく、お金ではない”哲学”(≒思想・信条)がより良いサービスにつながっているのだと私は思います。
介護施設のランキングはどうなのか?
料金によってランクを付けることができないのが老人ホームです。(頼りになるのは口コミです。)
なぜなのでしょうか?
専門家が指摘している事の1つは、若い業界だという事です。
高齢者介護サービスの提供は、近年開始された新しいサービスです。
日本全国で一斉に多くの方々が高齢になる。世界の国々でどこも経験していません。
超高齢化を向かえるにあたって、高齢者福祉の制度が本格的に開始されたのは2005年。
担い手を募った結果、民間企業も参入し、福祉業界とは全く異なる業界から介護サービス事業を開始しているホームももちろんあります。
安心できて満足できるホームを探すために大事なポイントは、建物が立派といった見た目よりも、スタッフによるサービスの充実度、スタッフの思いやりの深さです。
お金のかけ方、運営ノウハウが確立していない介護業界。
安心できて満足できるホームを探すためには、「高額な料金だから安心!」という判断だけでは後で後悔するかもしれません。
”手厚い介護”ならば安心!?
個人差はありますが、高齢であるほどに、使わない機能が短期間で低下すると言われています。自宅では食事をなるべく自分でさせていた。トイレもゆっくり歩くに合わせて家族が付き添い自分でしていた。
そのような高齢者が、ショートステイを1週間利用したら、極端に動けなくなった、という事もあるようです。
施設で動かずに過ごし、ほとんど寝てしまっていた結果、筋力が衰え、平衡感覚も弱って元気がなくなり動けなくなるのです。(廃用症候群や生活不活発病と言われます。)
そのように身体機能がすぐに低下するとは想像することができず、ついつい、手厚いケアをうたう施設なら、親を大事にしてくれると周囲では思うもの。
施設で働く介護のプロは、生活不活発病について、もちろん知っているでしょう。
けれど、スタッフ全員への指導が行き届いていないと、ケアをし過ぎることがあるようです。
一日中ほとんど体を使わなかったがために、入居者が自宅でしていたハズのできる生活動作でも、必要以上に手助けしてしまう事で、できなくしてしまう事があるのです。
能力を低下させない為にはある程度、本人が動くプログラムのある施設を選ぶと、「疲れるから大変だよ・・・」と本人から愚痴られたとしても、入居する親にとって良い場合があります。
それとは反対に、施設によっては、「能力を低下させない為」を口実に、本来であればしなければならないケアを省く事もあるようです。原因はスタッフ人員の不足です。
スタッフの人数が満たされており、入居者ひとりひとりの症状や体調を観てくれ、レクリエーションに趣向を凝らしている、そんなスタッフの居る施設を選ぶのが良いでしょう。
専門家が勧める施設がベストではない理由
実際に有ったわたくしの事。
担当の生活相談員やケアマネジャーからその施設の退去を迫られて勧められた施設が母に必要な介護の内容を満たしていませんでした。
母には合わない事がわかったのは、勧められた施設にパンフレットを持参して見学し、施設長とお話ししたからです。
兄は、専門家が勧める施設なのだから、母の介護の度合いを考慮して、その上で施設を勧めてくれている、と当初は勘違いをしていました。(仕事に厳しい兄ならではの見解です)
その1つが介護老人保健施設(老健)でした。兄は母が機能回復し、そしてまた自宅に戻って暮らせる事が念頭にあった、そのように楽観的に考えていました。
衰える体調の変化も予測して選ぶ
しかし、母にじっくりと希望を聞いてみると、骨粗鬆症の症状は悪化しており、老健にあるような機能訓練をする事に不安がありました。
老健を選ぶと、かかりつけ医を変える必要もある。
3か月を単位として、自宅復帰する事を目的としている老健では、退去を延期する事も可能ということがホームページにもパンフレットに書いてありました。
実際に、その施設に電話で確かめると、「入居の延期は基本的にお受けしていません。・・・」という返答。延期するのは例外中の例外という事だったのです。(老健ごとに方針は異なる事もあります)
兄はその老健に足を運んで見学し、結果として、母の入居の候補から外しました。長期で生活するニーズにそぐわないと判断したからです。
その老健以外にも専門家から勧められた施設があり、訪問しましたが、寝起きの介護が必ず必要な母の症状をケアしてもらえる施設ではありませんでした。
母の症状を日常的に知っているハズの現場の専門家でも、見落としはあります。
衆議院議員も務められた、社会福祉法人共愛会理事長の横江金夫さんは、「失敗しない介護施設選び(幻冬舎)」で、こう指摘しています。
専門家のすすめる施設が良い施設とは限らない
介護について、全くしらない私たちよりも、介護を必要としている利用者の事も、介護施設についても詳しいのが介護の専門家です。
専門家に頼る事は大切です。ただし、介護の専門職にもいろいろなタイプはいます。
横江金夫さんが言いたい事は、「介護の専門家」に任せっきりでは良くない、ということなのだと思います。
家族の思いと本人の希望、そして本人にしかわからない体調の変化。専門家であっても、その時点での施設を思い浮かべる事しかできないのかもしれません。
通院している親であれば、その病気が悪化した時にもケアしてもらえる施設なのか?
見学時に質問しておきたいポイントです。
望む事と望まない事をしっかりヒアリングする
入居者にはさまざまな希望と望まない事があります。
自分ひとりで居られるスペースが必ず欲しい人と誰かがそばに常にいて欲しい人もいるでしょう。
個室のある施設の方が安心できるとも限りません。個室であれば、ひとりで長い時間を過ごす事にもなり、痴呆症の発症や悪化の原因にある事も専門の医師からの指摘があります。
たとえば、外出。外に出る事ができる施設とできない施設があるのです。
毎日、あるいは1週間に一度だけでも、外の空気が吸いたい。
実は、私の母が入居している老人ホームは、利用者ひとりで散歩に出る事ができません。
似たように見える老人ホームであっても、こうした些細な事でも、できる施設とできない施設があるのです。
チェックするポイント
個室はあるのか?
トイレは共用なのか?個室にあるのか?
入浴は週何回できるのか?
浴室は居室のフロアーにあるのか?エレベーターを使って行くのか?
着替えのケアを朝晩同じ時間帯にしてもらえるのか?
洗濯は週何回してもらえるのか?
かかりつけ医に通院する場合に付き添いをしてもらえるのか?
夜間のスタッフは何人体制なのか?
エアコンの風がベッドに直接当たらないか?
外泊できるのか?
食事は施設の厨房で作っているのか?
健康診断を定期に実施しているのか?
入居の一時金の返還はどうなっているか?
提携病院は何をどのようにしてくれるのか?
面会時間は何時から何時までか?
交通も便はどうか?
入居後の問い合わせやクレームの窓口はどこか?
見学時などで施設長や代表と話しができるか?
このようなポイントは1例です。入居する本人と話しあって、希望を聞き出す事が最も大切です。
私の母は皮膚が弱く老人ホームの入居前には自分で洗濯物を柔軟剤で仕上げていました。そうしないと、衣服が皮膚にかすれて皮膚にダメージがあったからです。
施設によっては、お気に入りの「マイ洗剤」を使って洗濯する事もできるようです。
柔軟剤を使わず、施設で決められている洗剤で洗濯する施設の方が一般的なようです。
どのような場合にその施設を退去しなければならないのか?
入居者間でのトラブルや認知症の悪化により退去する事となる施設が多いようです。契約の前に、「これまでに退去となった事例を教えて頂けますか?」と聞きましょう。
万一、その施設を退去する事となった場合に、その後、どこに移り住む事ができるのか?
現在の母は整形外科で処方された、骨を作る注射によって一時期よりも症状は落ち着いています。けれど、これまでに何度か寝起きの際に骨折を繰り返してきています。
今にしてわかる事。
当時の時点で、老健で機能訓練をしても機能を回復する事が残念ながら難しかったと推測しています。母の骨はリハビリに耐える事ができる症状ではなかったのだと思います。
家族にとって、ある日突然に親の介護に向き合う事が少なくありません。
どのような施設に入居するのが最適なのか?
自分たちは介護施設について良くわからない。ケアマネジャー等の介護業界の専門家でプロならば、間違いはないだろう。
と思ってしまう事もあるでしょう。
専門家に丸投げしてしまって、後悔される方が少なくはないのが施設選びです。
不本意な施設を選ばない為には、ケアマネジャー等の介護業界の専門家でプロからの提案についても、じっくりと家族で話し合いし、本人の希望と体調に目を配る事が大切です。














